棚洗い









 

 

  アシスタントが綴る 6月  

 

明日は積み込み。神奈川での二人展が始まります。
安定しない天候に、会期中の穏やかな日々を祈りたいような気持ちです。

植物の芽出しの大切な時期に、天候がめまぐるしく変わったこの春。
うまく乗り切って、気持ちよさそうに葉をひろげるものは ひと安心。
一方 急激な寒さなどで ふくらませた新芽を動かすタイミングを失い、調子を崩して
しまった植物も目立ちます。
よく乾かし、水やりに気をつけて、加藤さんが 少しずつ回復させてきました。
ようやく芽を吹き、勢いのつき始めたデリケートな植物を、留守中 私が見ることと
なります。

植物に関わりはじめた頃は、具合のよくない植物も あまり乾かしたりせず、
“鉢の表土が白っぽくなったらたっぷり水やり” という 、加藤さんの本から
最初に自分にインプットしたことのみで 対応していたように思います。
だってよく乾かすというのは、こわいから。 
うっかり水切れしたら、それが致命傷になるかもしれません。
人の言うことを あまり聞くことができない私は、加藤さんのもとで 植物が回復していく様を 実際に体験するまで、できませんでした。
おそるおそる葉をひろげてゆく木ものや、出られなかった反動からか 乾いた土から
新芽を一斉にぞくっとだしてくる草・・・。
息を吹き返す。まさにそんな光景です。

植物の根元の土まで、しっかり乾かす。でも水切れはさせない。
根の冷えを少しずつ取り除いて、 生命力を回復させます。
活力剤などを使わない 一見単純な作業のようですが、くり返し観察する根気が必要で、書く程 簡単ではないように思います。

加藤さんは よっぽどでない限り、良い悪いを表しません。
でも、水やりの成果は、ひとつひとつの植物にしっかりあらわれます。
なるべくなら ダメージの少ない水やりをしたい。思いだけはあります。


 2018年5月19日  記す  山田 ナオコ

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