ハナゼキショウ









 

 

  アシスタントが綴る 10月  

 

日が落ちるのが早くなり、朝晩はかなり冷えるようになりました。
それに合わせるかのように、体力の衰えをひしひし感じるこの頃。
ちょっと寂しくなっていましたが、以前の自分に励まされることがありました。

9年前、ペイントした箱に いろいろを詰め込んだ、BOXセットを作りました。
あうりんこ星のシーンを集めた小さな手製の本と、 イラスト。
9つ程あったBOXに、全て違うイラストを 加藤さんが描きました。
小さい盆栽鉢も、もちろん あうりんこ製。
植物を剪定した時にとっておいた枝に みがきをかけ、漆を何度も重ねたオブジェ。
小沼さんのボタン、植物のタネと土のセット、 植え替えの仕様書などなど。

久々に見ると、 かなりのボリュームに驚きます。
どうやって制作していったのか、全く覚えていません。
「できる限りを いろいろ 詰めました。」
説明書きにある通り、時間をかけて やれることを尽くしたのだろうな などと、
記憶が本当におぼろげなので、もはや他の誰かの仕事のように 感心して
眺めてしまいます。

来年の個展のために、 BOXセットを 新たに作ることになりました。
内容はまだ かたまっていませんが、できるものから少しずつ製作を始めています。
加藤さんの短い言葉と、小沼さんの撮影した写真を組み合わせた手製の本も、
今作ったらどんなものになるのか、楽しみな反面、ちょっとドキドキ。
当時 便利なデザインソフトなど知らず、知識もほとんどなかった分、みんなの
気持ちのみを結集してできたような 2010年の本は、今見返してみても なかなか
いいのです。

木になろう  役に立つので
皆が通ってくれる 有効な木となろう
そう願って 生きてみよう  

姫リンゴの木に 加藤さんが添えた言葉です。

ほんのり色づいたカツラに近づくと、カラメルのような甘い匂いがしています。
早々と 落葉のサインを出し始めました。


 2019年 9月24日  記す  山田 ナオコ

 

 

 

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