外の光を求めて









 

 

  アシスタントが綴る 3月  

 

加藤さんは30歳で独立し、奏デル盆栽を主宰しました。
開園を知らせる案内状は 今見ても とても素敵で、いつかこんな仕事ができたら
幸せだなと思っていました。
加藤さんの文章と ロゴ、開園時間。最小限の表記と色彩なのに、粋で華やか。
地図のデザインには、感動してしまいます。
大きなロゴのあるグリーンの部分は、切り取ると、名刺になる仕掛け。
あて名面に、住所と名前が記されています。
どんなところなのか 行ってみたくなる、まさに案内状としての仕事を全うしている
作品だと思っています。

製作したのは、Tさん。数年前にお亡くなりになりました。
Tさんは 加藤さんの20代からのご友人で、たくさんの時間を共に過ごされた方です。
那須にもお見えになっていますが、情けないことに私が記憶しているのは、
Tさんの 汚れひとつない真っ白なコンバースのデッキシューズのみ。
自分のことながら、がっくりします。

今回「あうりんこ Weekend gallery 」の 案内状を製作する機会に恵まれ、改めてじっくり考察してみると、本当に才能のある方だったことに気づかされます。
色々な制約がある中で、これほど軽やかに 美しいものを作ることは、とても難しい。
この DM 製作時に比べ 格段に性能の良くなっているはずのパソコンで、この感じに
近づきたいと あれこれやってはみましたが、やはりこれは Tさんにしかできない
仕事なのだ という当たり前のことを思い知りました。

今なら、Tさんの仕事の凄さを少し汲み取れた今なら、ちょっとは学べる自分
だったかもしれません。
Tさんには、もっともっと素敵な作品を見せていただきたかったです。

 

© Kazuo Takagi


 2019年 2月 19日  記す  山田 ナオコ

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