2018年10月         


阿保さんと 耕木杜の皆様


出口絵依子さんの ねばち の中の ハリガネカズラ


ウメモドキ 色づく



たった 一輪



 

我が家の裏手に 両親が暮らした木造の家がある。
20年程前、大工の A さんが 千葉の自宅をはなれ 那須に仮住まい
しながら 一人で建ててくれた。
建築家 N 氏の設計した「 R の家」のプランをベースに 細かな寸法を
出しながら 基礎の木組みから着手。
カンナ削りも気が遠くなる程 くりかえされた。
予期せぬ難問に 遭遇することもあり アールの家を木造で手がけると
いうのは 並大抵のことではなかった。
あきらめず ねばり強く・・・末永く愛される家の完成をめざす・・
そんな A さんの 日々の思いが込められている。

昨年 母が他界 主のいなくなった住まいの整理を少しずつ進めている。
応接室だった所は ペンキを施して 展示室にしてみた。
来客があれば お通しできるように設えた。
天気の良い日は窓を開け 風を通す。
A さんがつくって下さった神棚に 毎朝手を合わせる。
ストックしてある食材をとりに行ったり 花を生けてみたり
諸々 用事をつくって R の家を 訪れる。

通えば通うほど 手を入れれば入れるほど 愛着がわいてくる。
好きになる。
こんなに 良い家だったんだ と 感心している。

夏以降 客人をお通しする機会がふえた。
R の家は 文字が示す通り 建物全体が扇状にゆるやかなカーブを
描いて 左右にひろがっている。
従って 室内の景色も 直線ではない。
そんな R の家を 不思議がったり おもしろがったり 居心地が良いと
言って頂いたり・・・それぞれの反応がうれしい。

家が喜んでくれるように・・・  all right と言ってくれるように
大切にしたい。 

2018年9月12日  記す     加藤 文子   




都会の真中で・・・ 
      トリプレットにて

 


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