はじめてみる 笹の花




 

 

  アシスタントが綴る 8月  

 

7月後半に入りました。天気は安定せず、朝は寒いくらいの日もあります。
春から続いた展覧会も、ようやく一休み。
加藤さんはゆっくり庭を眺めながら、植物に手を入れています。
小沼さんも 時折やってくる暑さに閉口しながら、窯炊きをしています。
そうして 秋からの二人展を もう間もなく迎えます。

先日 小沼さんに本を紹介して頂きました。
次に読んだ加藤さんにも、「面白いから。ひろい読みでもいいんじゃない?」
と 勧められたのは、工作舎からでていた「植物の神秘生活」。
偶然にも、15年程前に 友人にもらった本でした。
当時は数ページで挫折し、そのまま本棚の奥へ・・・。私は ろくに感謝もしなかったのでしょう。植物には人の心がわかるということを、科学的に明らかにするところから始まるこの本のことは、長い間忘れていました。

良い機会なので 開いてみると、おや なんとか読めるではないですか。
驚くことに、自分と植物の関係や、生育に詳しくない人が 健やかに植物を育てられていることなど、常々 不思議に思っていたあれこれに 光が射す内容なのです。
どうして 忘れていたんだろう? でも、これが 私のタイミングだったのでしょう。

「この本をくれたって友達は、相当面白い人だったんじゃない?」と 小沼さん。
当時 友人は、多分25才くらい。
自分の行く先が定まらず じたばたするばかりだった私には、自分自身や 周囲を静かに眺める佇まいのこの友人が、とても眩しい存在でした。
どんな思いで、贈ってくれたのだろうか。
そんなことを 今になってはじめて、考えています。

「毎日少しずつだけれど、読んでいるよ。すてきな本を どうもありがとう。」
きっと 日々を大切に過ごしているだろう友人に、改めてお礼を言いたいです。


 2016年7月24日  山田 ナオコ


あうりんこスケッチ2011にもどる