外をみる


 

 

  アシスタントが綴る 3月  

 

2月5日の雪は、水分をふくんだ大粒のものとなり、半日で30㎝ほども積もって 景色を
一変させました。幸い翌日午後には晴れて、大事には至らず。
名前の知らない小さな灰色っぽい鳥たちが集まって 賑やかにさえずり、雪の上を
ピューッと走ったり、飛び跳ねたりしています。

このところ 小沼さんのかま焚きが続いています。釜小屋での仕事と並行して、冷たい
風の吹く中庭で 焼き上がったものに磨きをかけるグラインダーの音が、 長い時間
聞こえています。
加藤さんの「お食事でーす」のかけ声で みんなが集まる昼食のテーブルに、時折
小沼さんが やきものを運んできます。
「どうだろうか・・・」ここで止めようか もう少し手をかけようか 思案している場合が
多いように感じますが、たまに自信作のときも・・・。
加藤さんが これのここが良い と 伝えると、ポーカーフェイスで 「そうでしょう」
と・・。 思わず笑ってしまいます。

すでに完成して 時間の経った作品を焼きなおすことも、珍しくありません。
そのままでも 十分魅力的だと思うのですが、その先があるはずと 進みつづける
小沼さん。良い仕上がりになることもありますが、そうでない結果も。
「前にうまくいったからと言って 同じことをしても、思う感じにはならないなぁ」と
ため息をついています。

今年73才という年齢をあまり感じないのは、仕事に対するエネルギーが、全く衰えないからではないかと思っています。
見たこともないオブジェやうつわが、日々 小沼さんの手から 生まれています。

2024年 2月13日 記す  山田ナオコ

 

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