ハツユキカズラ
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台風の近づく房総の海岸には 不思議な静寂があった。
ねずみ色の重たい雲の間からわずかに青空がのぞいていた。
波の音とシャッターを切る音が フーガのようにめぐった。
30年前の晩夏のこと。 |
10月の新宿での展覧会の案内状ができてきた。
今回は 岩瀬 陽一氏の写真で作成して頂いた。
モノクロームで しかもゼンマイの芽出しのクローズアップ・・・
こんな案内状は はじめてのこと。
どんなふうに 人々は 受け取るのだろう。
そんな事も 楽しみだ。
岩瀬氏は 30年近く 奏デル盆栽を撮り続けて下さっている。
その多くは モノクロームである。
独立間もない頃の奏デル盆栽は あぶなげで幼くうつって見える。
まるで 当時の自分を見るようだ。
ならば 30年たった今は 力強くなったのかどうかは
答えようがない。
あい変わらずのようにも 思える。
いずれにしても そのいろいろが もうすぐ会場に映し出される。
2009年 8月28日 秋の風の流れる庭で記す 加藤 文子
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