厳寒期 瓶(かめ)の水が凍って 昼時になっても
溶けないことがある。
水やりをするためには 氷を割らなければならない。
氷が厚い時は 熱湯を注いで ゆるめながら割る。
薄い氷の破片の残る水面を じょうろで撹拌すると
カラコロ氷の触れる音がする。
この透き通った響きが 良い。
氷を掬わないように注意して 水を汲む。
それでも じょうろの中に滑り込むものがある。
水をやろうとしてじょうろを傾けると 氷のかけらが柄を伝わって
注ぎ口まで降りてくる。
その氷に阻まれて はす口(ぐち)から水が思うように出てこない。
事態を回避すべく じょうろの持ち手の角度を変えて、
塞いだ氷をはらう。
あっちにかたむけたり こっちに揺すったり
手くびや腕をまわしながら へんな水やりをしている。
時間も 余計にかかる。
何十年もの間 じょうろで水やりをしてきた。
右利きの私の腕は 左にくらべて断然太く がっしりしている。
真冬の水やりは さらに右腕を強化する。
水やりをしながら 春を捜す今日このごろ
2011年 2月18日 記す 加藤 文子
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