昼食を終えて 午後の仕事を再開しようと台所の引き戸を開けた途端
飛び込んできた光景がある。
玄関のひし形のガラス戸から射し込む光に映し出されるシルエット。
棚に置いた室内植物の葉が 構図をかえて 壁面にひろがる。
大きくのびたモンスターのような影に 捕まりそうだ。
上方の丸いガラスの照明板には 外の庭が映っている。
小さな丸の中に 早春の息吹が浮かんで見える。
これを なんとか カメラに収めたいと思う。
沢山シャッターをきっても 光景が体を通り抜けて行くような感覚は
映像にならない。
西の空に陽が落ちて行く頃の 光の波に耀う植物たちの姿も
何度挑戦しても 映しきれない。
難しいとわかっていても カメラに手が伸びる。
光が届けてくれる 心を捉える瞬間を
いつもどこかで待っているような気がする。
2012年 3月20日記す 加藤 文子
雪の日の冬咲きエリカ |