2015年8月         



小さな鉢の中の ザクロの花




ビリー・ホリデーを思い出す




早朝のアトリエ


 



カワラナデシコ もう一度咲いている


 

 

つかの間の夏の夕暮れ時 最後の水やりを終えたひと時
日ぐらしが鳴く中 となりの林では啄木鳥が コンコン幹をたたいている。
コナラの梢にいたカラスは カァーッとひと鳴きして 大きく羽ばたいて
飛んでいった。
Tシャツも 首に巻いたてぬぐいも 汗を含んですっかりくたびれている。
夕餉の支度もあるのだが ひと呼吸入れたい。
一日のあつい空気を払うように 涼しく心地良い風が 庭をぬける。
少し庭を歩こうかナ。

残照に映し出された オレンジ色のザクロの花。
とても小さな鉢なのに よく咲いたものだ。
うす暗くなった温室で クチナシの花の純白がくっきり浮かんでいる。
ビリー・ホリデーの白い髪飾りの花を思い出す。
牧草地に近い庭の片隅では 中国草ボタンのうす紫の花が
ヒイラギナンテンに茎を絡ませて 群れを成して咲いている。

花ばかりではない。あちらもこちらも 夏をしている。
この瞬間も 知らないどこかで 皆 思い思いの夏を見ている。
私はここで・・・  このひと時が 過ぎ去る前に・・・
確かに ここで・・・

2015年 7月 17日 記す     加藤 文子

 


 




朝霧草とカヤツリグサ

 

 

あうりんこスケッチ2011にもどる