2021年11月         

海さんのかんむり


絵画のよう



ミニチュアの織  J.H 作


飛んで行きそう


三年目となる ウィークエンド ギャラリー 2ヶ月を残して今年の
会期を終えようとしている。
秋晴れの中 乾いた空気に包まれて ギャラリーの長椅子に腰かける。
誰もいないギャラリーで ゆっくりしてみる なあんてことしてないなァ
と 思いながら リラックスしている。
今年のゲストは 五百川 弓月さんの染織と 竹井 海さんのアクセサリー。
お二人の作品とのお別れも近づいている。
麻や絹を素材に 藍や矢車ぶし たんぽぽ 槐(えんじゅ)などで
染めて 織り込まれた作品の 美しく軽やかな風合い。
光の射し込み方で 表情も変わる。
遅れて送られてきたポーチは 茜や藍などの他 アクリル絵の具が
隠し味のように施されていて エナメルのような光沢が
新鮮な印象を与える。

真鍮や金 シルバーなどの金属と ビーズや水晶など 様々な素材を
合わせて製作された どこか懐かしさの漂うアクセサリー。
身につけなくても 壁に留めたり さりげなく棚に置くオブジェとしても
ステキに存在する。
意匠を凝らしたかんむりの作品も・・・海さんの力作。

この数ヶ月 お二人のおかげで贅沢な時間を過ごさせて頂いた。
ぬくもりが心地よくて ボォーッとしながら 織のひだに集まる光や
アンティークビーズの輝きに 見とれていた。
晩年の日々をこの家で過ごした母にも 見せてあげたかったと・・
そんな思いが 通り過ぎる。

拳をにぎりしめたように硬く結んだ新芽を展開させて
孔雀が羽をひろげるように 優雅な立ち姿を 春から秋にかけて
見せてくれたヤシャゼンマイの葉先も かっ色を帯びている。
紅葉も束の間 ハラハラと葉を落とす雑木。
そんな中 ゲンノショーコの濃いピンクやリンドウが強い光線の下
強烈な色を放っている。

2021年 10月10日 記す     加藤 文子

  



蔦の行くえ

 

 

 



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