ムーンウィンドウ周辺の情景










 

 

  アシスタントが綴る 9月  


8月に 母が亡くなって 15年が経ちました。
そんなに経ってしまったのかとびっくりします。

長年 英語の教師をしていましたが、仕事以外の時間も いつも英語を勉強していました。集中すると他に気がいかなくなるようで、真っ黒に焦がした煮物が 食卓に並んでいたのを覚えています。私たち三姉妹の母である前に、学校の先生という存在でした。

晩年は 夏休みを使ってカナダに語学留学したり、いろいろな国からやってくるALT(英語指導助手)の方々との交流を楽しんでいました。 家族の中で 一番エネルギッシュに活動し、家にいる時間があまりなかったように記憶しています。
そうして、熱海で行われた大きな勉強会への参加中に、突然他界しました。

幸せな人生だったのではないかと思います。
でも 最近 真剣に机に向かう母の 後ろ姿 を思う時、本当に必死で やりたいことをやっていたのだなと 考えられるようになりました。いろいろな事を乗り越えながら、悩みながら、自分の時間をひねり出して生きていたのだと思えるようになったのです。

亡くなる2ヶ月前、水彩で ヒメジョオンを描いた 誕生日カードをプレゼントしてくれました。
 「 美しく 確実に 時を刻め 」  力強い字が 絵に添えられています。 
黙って渡されましたが、当時はその意味など深く考えませんでした。
今は・・・目指す所もなく、漂っているような生き方をしていた私の行く先を案じていたのだなぁと 感じると同時に、もしかしたら 母自身のために記していたのかもしれないとも思えます。

私はまだ「美しく時を刻む」ということを よく分かっていませんが、好きなことに出合えたことに感謝しながら、毎日に向き合いたいと思っています。


作業の途中で

2014年8月24日  山田 ナオコ