秋がならぶ









 

 

  アシスタントが綴る 10月  

 

このページで いつも私が 一部分を取り上げて おかしく描いてしまいますが、小沼さんは変なおじさんではありません。普段は アトリエに座り、大きな手で とても繊細な仕事を 一人静かに続けています。

独自のアンテナで収集したエネルギーを 指先から放出するかのように、花やうつわやふしぎなものが形作られて、焼成やみがきの工程を経るうちに そのひとつひとつが独特の空気をまとっていきます。かつて 「自然の中でも存在していられるようなモノをつくれればいいな」と願った小沼さん。その思いは、今も作品に宿っているように感じられます。

すべて手練り、その様子によっては焼成を何度も繰り返し、時間をかけて仕上げられていきますが、日中ほとんど仕事をしていますので、その数は大変なものだと思います。その中から 私が目にできるのは どのくらいなのでしょう。小沼さんが注ぎ込んでいるものの、ほんのひと滴をかいま見て 喜んでいるのかも知れません。


アトリエで


小沼さんのつくる盆栽鉢は、私にとって 特別です。
植物が健康に育つ条件が揃っているのはもちろんのこと、今まで見ていたはずの植物が、小沼さんの鉢の力をかりて、はっとするほど印象を変えてもらえる時があるのです。よりチャーミングになった植物からは、パワーをもらえる気がしたりして・・・。

軽やかにつばさや足が生えて、今まさに飛んでいきそうな小沼さんの分身たち。
日々の仕事を淡々と重ね 進化を続ける手の中から、次にあらわれるものはなんでしょうか。


 2015年9月17日  山田 ナオコ


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