花穂が ひらく









 

 

  アシスタントが綴る 4月  

 

あうりんこ星に春を告げる温室のミモザが、体いっぱいに鮮やかな黄色の花を咲かせています。庭も少しずつ 色を取り戻してきました。
そろそろ防寒のために残しておいた 庭の落ち葉を片付ける時期。
コクリュウの群生する中に根付いた 思いもしない植物の小さな芽吹きを発見したり、ひょっとでてくる虫に驚いたり。それぞれの木々の生長や、深刻な異変に気づくこともあります。
庭全体の把握もできるこの仕事は、本格的な室だしの前の 楽しみでもあります。

今 その作業を担ってくれているのは、昨年夏から 共に学んでいる I 君。
月に2回程 笑顔でやってきて、淡々と庭仕事をしてくれる彼のお陰で、私は 展覧会の続くこれからのための準備に集中することができています。

ある時 おもしろいことがありました。
I 君がおみやげにもってきてくれた和菓子の名が、偶然にも 盆栽が登場する謡曲にまつわるものだったことで、お茶の時間が 古典の中の盆栽にふれる新鮮な機会になりました。 よいタイミングだからと、加藤さんが盆栽の歴史について描かれた本を薦めてくれます。いつもなら 読めない言い訳で その場を逃げる私ですが、この展開につられて、今 四苦八苦しながら読書中。難解な部分が多いけれど、そんなことも不思議と楽しめている自分を発見しています。

思いもよらぬ I 君効果。これからがなんだか楽しみな 春の到来です。


 2016年 3月24日  山田 ナオコ


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