|
アシスタントが綴る 9月
アリが、大量発生しています。
この暑い盛りに 勘弁していただきたいのですが・・・。
根洗いといわず 木ものといわず あらゆるところに出没中。
葉裏にアブラムシやカイガラムシを住まわせ、その分泌液をせっせと巣に運ぶのですが、最近は その巣まで、鉢内につくろうとする強者がでてきました。
2時間前にはなんともないように見えた植物をふと手に取ると、大量のアリが噴き出してくる!もう 珍しくなくなってきました。
棚から移動し、できる限りアリとアブラムシなどを払い、駆除効果のあるパウダーをひいたトレーにのせて養生させます。半日ほど経過すると 気配はなくなり、手当が有効だったかと 喜んでしまいますが、全くそうではなく、アリは 鉢の中で息をひそめて こちらの様子をうかがっているのでした。うっかり者が トレーの上をウロチョロしているのを発見してしまうと、ため息がでてしまいます。
アリの種類は様々。細かいアリほど、一度気に入った盆栽から なかなか撤退してくれません。養生のために日陰に移動するので、日照不足も気になります。また アリが土の中に住み着くと、熱がこもり とても乾くようになります。根洗いなどは 小さな地球の温暖化をみているようです。
アリ対策 |
探せば、つよい薬はあるのかも知れませんが、ここでは使用しません。
そのかわり 加藤さんはこまめに観察し、手を入れて 対処しています。
奏デル盆栽の植物たちは、皆年を重ね 30歳を越えるものもあります。
その歳月に育まれた生態系が ひと鉢ごとにあります。
今日の この一面に執着して 強い処置を行えば、その生命をおびやかすことに繋がるかもしれません。
実際 私はそのようにして、庭木や盆栽を 気の毒な目に遭わせています。
多少何かあっても 大切なのは、健やかに生きていくこと。目にみえないバランスや 未来をおもう想像力がなければ、これほど長い月日を共有することはできないのだな と感じています。
毎日 淡々とアリと対峙する加藤さんを見て、なぜか「アメニモマケズ」を思いだしています。
2016年8月10日 山田 ナオコ |