波うつ クジャクシダ









 

 

  アシスタントが綴る 10月  

 

都内での展覧会も 半ばとなりました。
会場風景を撮影してくれた I 君の画像には、ビルをバックにした植物とやきもの。
ワイルドな秋の草が 都会の景色によく映えています。
たくさんの方々の視線を浴びて りんとした姿に、普段を共に過ごしているにも関わらずみとれてしまいます。水やりだ 虫だ!と 部分を見て騒いでいる日常の中で、私は ひとつひとつの姿がよく見えていないのかもしれません。

9月はじめに 加藤さんのお母さんがなくなりました。
こちらが心配するほど旺盛だった食欲を ぱたりとなくした 一週間後のことです。
少しずつ 階段をゆっくり降りるように、いろいろな動作を失っていきましたが、意識ははっきりとしていました。加藤さんの問いに、指をOK マークにして答え、笑わせたりしていました。
皆で聞いた「ありがとう」が、最後のことばになりました。

この時期しかないというタイミングで、他のことをあまり気にせずに、静かに最後の時間を得られたことに、とても感謝しています。
「お母さんは、ちゃんと分かっていたのかもしれない。」
そんなことを話したりしています。

そう言えば、と 加藤さん。
日照の不足で、例年ならまず望めない 庭の百日紅の開花。
なぜかこの夏、色鮮やかなフリルのような花をずっと咲かせていました。
「あれは、父からもらったものだった。」

 

 2017年 9月24日 記す  山田 ナオコ

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