たったひとつ









 

 

  アシスタントが綴る 2月  

 

多くの小さな盆栽をバックに微笑む少女は 加藤さんです。
この写真を載せたいがため、少し前のことをかいています。

昨年末、加藤さんが少しずつ取りかかっている お母様が残した盆栽町の資料や
写真の整理を 手伝うことになりました。
資料はちきんと見なくてはいけないので、今回は集めるのみ。
写真がとにかく多いので,アルバムから加藤さんが選んだものを切り取って
残すことにしました。
分厚い表紙のアルバムのページを繰るたびに 当時の事などで会話ははずみ、
写真に見入ってしまいます。
兵役に着く前でしょうか。軍服を身につけ,笑顔で写る 加藤さんの父・秀男さん。
10代後半で 秀男さんの盆栽園に修行にきていた、幼さの残る顔の少年。
お弟子さんとして、小さな加藤さんと共に暮らしていた方だそうです。
他のアルバムには、成人した彼が 秀男さんから贈られた あつらえのスーツで
ピシッときめた肖像写真がありました。
モノクロームの庭の写真。広い庭に びっしりとはり巡らされた盆栽棚。
どれだけの植物が置かれていたのでしょう。

整理はまだほんの一部分。まだ未整理のアルバムには、ひいおじいさんの代に
東京で盆栽を育てていた頃の写真もありました。撮影すること自体 珍しかった
ような時代に写されたものも多く、大切に保管された月日の長さを感じます。

これからいろいろなことを知ることができそうで、ワクワクしています。


 2018年1月15日  記す  山田 ナオコ

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