夕方の光


 

 

  アシスタントが綴る 10月  

 

よく晴れると、まだ少し暑い日中の那須。
でも、盆栽達は早々と秋の姿になっていきます。
コバノズイナやカツラは瞬く間に紅葉し、9月半ばにはその葉も落とし始めました。
コムラサキは鮮やかな紫の実を重そうにつけ、枝先も深い紫を帯びています。
黄葉したカタヒバの小さな根洗いから すっと伸びた紫エノコロは赤い花穂を揺らし、
十五夜の昨晩には素敵なシルエットを見せてくれました。
棚上は色とりどり。
最後の花火を上げているような、少し寂しいような 華やかさです。

今日は 秋の置き肥をしました。
固形の肥料をひと鉢ずつ、それぞれの調子や 春に置いた肥料の残りなどを確認しながら
置いていきます。
毎日水やりしながら 観察をしているつもりでも、作業台に乗せて 発見できることは
多く、鉢の数から言えばスピーディに行きたいのですが、つい手入れに時を費やして
しまいます。
茂っていた時には分かりづらかった 太い徒長や、カイガラムシ。コゾウナカセや
ゼニゴケが生えてしまっているものも。速攻で排除します。
中には、どうやって飛び込んだのか不思議で仕方がない混生が完成していたり、春には
ダメになっていた植物が、どうにか復活しているなどの嬉しい発見もあります。
思わず見入ってしまう自分のお尻を叩きながら、進めます。
今年もキレイな姿を見せてくれた植物たちに、感謝をしながらの作業です。

風がビュウっと吹く日が出てきて、周りの林からは若いドングリが音を立てて降って
きました。もうすぐ大量の落ち葉がやってきます。
本当に、一年が早い。

 

2021年 9月17日 記す  山田ナオコ

 

 

 

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