大王松が・・・


 

 

  アシスタントが綴る 5月  

 

朝はたいてい、アラームより賑やかな 鳥たちの鳴き声で目が覚めます。
私の住む古い住宅地は、昔ながらの庭のある家が多く、歳月を経た大きな庭木も 珍しくありません。ウグイスやメジロも暮らしやすいのでしょう。早朝からきれいな声で
さえずっています。毎朝 仏様にお供えした小さなご飯を、庭に放っているのですが、
鳥がそれを覚え、数羽が近くの木で待っています。カピカピのわずかなご飯をめぐり、
大騒ぎの争奪戦をしています。ご飯を放るのを忘れ、朝の庭仕事をしようものなら、
ムクドリがすぐそばまでやってきて、叫んで催促してきます。
なんていうことのない、けれど とても楽しい時間です。

ウクライナにも、同じような朝があったはず。
人間よりもはるかに長く生き、多くの生き物が集う木も 各地にあったでしょう。
土の中に、大気の中に生きていた膨大な数の命たちが、紡ぎ続けて生まれた楽園を、
人間が またたくまに破壊してしまいました。
再びよみがえるために、どのくらいの時間がかかるのでしょうか。

あうりんこ星は今、若葉の季節です。
色とりどりのみどりが日を追うごとに庭を彩っていきます。
ヤマコウバシの柔らかな葉は、銀色の産毛にまとわれています。薄みどりの細かな葉を、細い枝から一斉に吹き出しているのは、コフジ。
植物たちの弾むような生命力に背中を押されながら、今日も庭で仕事をしています。

2022年 4月20日 記す  山田ナオコ

 

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