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  アシスタントが綴る 8月  

 

短かかった梅雨が その分を取り戻すかのように、雨 雨 雨の毎日。
水害が深刻な地域もあるなか、今のところ 那須の降水量は穏やかです。
6月下旬の猛暑の疲れが未だ尾をひく私は、少しほっとしています。

加藤さんの個展開始と同時の梅雨明け宣言。
留守番となった3日間は、那須でも 午前中に30℃を軽く超える日が続きました。
庭植えのアジサイはぐったりとしなだれ、鳥の声も全く聴こえません。
ギリギリ取り付けが間に合った、日よけの寒冷紗に助けられたエリアがあったものの、
急激な温度の変化で、前日とまったく違うリズムで、瞬く間に植物が乾いていきます。
温室は 40℃を越え、なんだか頭がぼーっとしてきます。
それでも やりすぎは避けたいと、乾きを確認するため 時間をかけていた私の水やりは
間に合わず、ヤシャゼンマイやレンギョウなど、比較的丈夫な植物を水切れさせて
しまいました。
植物の異変に気付いたのは、翌日 帰宅した加藤さんでした。
びっくりして見てみると、組織が完全に傷んで、ケロイド状になっています。
もう、そこを再生することはできません。
残った部分のみで、生命活動を維持しなければなりません。
植物と加藤さんに申し訳ない気持ち以上に、自分のやり方や考え方への不安が大きく
なりました。でも、加藤さんが不在になる日は、私がやるしかありません。

頭を切り替え、ほぼ水やりのみに集中することにしました。
1時間前に水やりしたものも関係なく、ホースを使って すべてを見回り チェック。
とにかく水切れを避けたいので、少し早めでも しっかり水やりしました。
よく乾くものは、しつこくたっぷり。
やりすぎているものは、後日 加藤さんが調整してくれます。
一日中、庭をグルグルしていたら、腕が真っ黒になりました。
庭整理はどうしても気になったところを少し。
アリを追うのも最小限に。
そのおかげでしょうか、その後ひどい水切れはありませんでした。


時々 こんなことが起きて、自分の今をリセットしながら日々が重なって行きます。
「やれると思ってたでしょ?」傷んだレンギョウの脇を通るたび、頭のなかで声が
聞こえています。

 

2022年 7月24日 記す  山田ナオコ

 

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