豆鉢のミセバヤ Ⅰ


 

 

  アシスタントが綴る 10月  

 

ようやく秋めいてきた那須には、日中も涼しい風が吹くようになりました。
あうりんこ星の入り口に 彼岸花が咲いています。
サンスクリット語で、天界に咲く花 を意味する「曼珠沙華」という名の方が、私は
好きです。花弁は大きくそり返り、雄しべと雌しべが 重力に逆らい 美しくカーブを
描く 繊細で見事な花の作りと、鮮やかな朱色。
あの世で 一面のこの花に迎えられたら、どんな気分でしょうか。

加藤さんが置き肥をしています。
過酷な夏を生き抜いた植物に 負担を与えないよう、春に施さなかったものや 初夏に植え替えたものなど、限られた鉢のみに与えられています。
それにならい、自宅でも秋の作業を始めました。
暑さにくたびれた植物に手を入れていると、植え替えが必要だと思われるものが
いくつか出てきました。
でも 加藤さんは、今秋はなるべく植え替えは控えておきたいわね と、ほとんどして
いません。うーん・・・と 考えても判断がつかないので、あうりんこ星に持参する
ことにしました。
仕事の合間に見ていただくと、あるものは 鉢の形状が 植物の生育状態に合わなくなっていることや、また別の植物は 植え替えせず 根洗いを勧めてもらうなど、自分では気づかなかった方向への提案を頂きました。

20年植物を育ててきて、この頃 判断に迷う植物がふえており、時々こうして見て頂いています。迷うほど 自分の無知を突きつけられ、毎日何を見ているんだと ため息が
出ますが、これが今のわたしです。
植物と一緒に 健やかに成長できることを願いながら、学んでいきたいです。

2023年 9月24日 記す  山田ナオコ

 

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